蠍は留守です考

蠍の輪郭を見つめてふける思惟の痕跡

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Service Experience Camp 2018 に参加して(3)――特に印象に残ったこと

この記事はこまどりさん主宰の Service Design Advent Calendar 2018 8日目のエントリーです。

2018年11月2日・3日の2日間、ベルリンで行われた Service Experience Camp 2018 に参加してきた。その参加レポート的記事を3つにわけて書いていて、今回は最後になる3本目。

今回はSXC2018の中でも個人的に特に印象に残っていること、特に心折らずに参加できた理由や最後まで前向きな気持で楽しめた理由などを中心に、個人的な感想がメインとなる記事です。もしカンファレンス本体の情報に興味がある方は、1本目2本目の記事も合わせてお読みください。

  1. コ・カンファレンス概要
  2. オープンセッションまとめ
  3. 特に印象に残ったこと(この記事)

イベント情報の集約とオンライン交流

チェックイン時にもらえるチケットホルダーは、2日間のカンファレンスに必要な情報が詰め込まれている。最近は大きなイベントではこういう情報セットが当たり前のように用意されているけれど、なんだかんだ言って本当に便利。

参加者全員に配られるチケットや情報が詰まった名札

加えて、Whovaによる情報の集約も便利だった。基本的な情報はもちろん、カンファレンス全体のアジェンダ、自分が参加するものだけをピックアップできるマイアジェンダ、それぞれのセッションに対するメモ機能などが用意されている。

コミュニティー機能も頻繁に利用した。セッションオーナーからのセッション個別のお知らせも簡単に見ることができるし、好きなトピックについて他の誰かと話したり、撮った写真や資料のURLを共有したり、リアルタイムに情報交換することができた。

Whovaの画面

セッションオーナーや参加者の連絡先もわかるので、ちょっとしたメッセージを送ったりするのにも困ることがなく、気兼ねなく交流ができた点は大きい。会った人の名前を覚えるのは、特に海外カンファレンスでは大変。ひとつコミュニケーションの壁が減るだけで、ぐっと交流がしやすくなる。個人的にはとても助けられた。

Camp Dining Experience の温かさ

今回は、オーガナイザーのMauroの好意で、カンファレンス前日の Camp Dining Experience に招待してもらった。Camp Dining Experience は食に関するサービスデザインを提供している会社がプロデュースしてくれていたとのこと。私にとっては食材からテーブル体験まで、すべてが新鮮だった。

Camp Dining Experience のテーブル用ネームカード

いちばんエキサイティングだったテーブル体験は、両隣の人と手首を結び合った状態でディナーをいただくというアイスブレイク! 大皿からサラダを取り分けるのにも、自分のお皿のお肉を切るのにも、右隣の人と左隣の人と自然に協力することが必要になる。

少しリラックスしてくると、動きもだんだん大胆になってくる。自分が動きやすいようにすることをあきらめて隣の人にワインを飲ませてもらったり、お向かいの人に料理を食べさせてもらったり。料理を食べるために手を動かすだけで、テーブルにやわらかな笑いが起きた。

両隣の人と手首が結ばれた状態で食事をする様子

写真を見てもらうとわかる通り、お互いの手首が結構しっかり結ばれているんだけど、不思議なものでわりとすぐ慣れてくるんだよね。最初はなんとも言い難い気分だったけど、気が付くと当たり前のように食事できてる自分たちがいる。これは別の機会にもやってみたいな〜。本当楽しかった!

この Camp Dining Experience に参加する前が緊張のピークだったんじゃないかな。人見知りなので理由なんてなくたって基本不安だし、英語でおしゃべりできるかどうか考えたら倍不安だし、とにかく勢いを付けて参加したのだけど、そんな不安は要らなかったなってくらい、何もかもが温かくて満ち足りた夜だった。

手首がしっかり結ばれている

Mauroをはじめ、オーガナイザーの皆さんが他の参加者と話すきっかけを作ってくれたし、会う人会う人全員がオープンマインドで、まっすぐにコミュニケーションしてくれたのがありがたかった。人間として尊重されている感覚がめちゃくちゃあって、だからつたない英語でも落ち着いておしゃべりをすることができたんだろうな。

この夜があったから、その後の2日間のカンファレンスも心折らずに参加できたんだと思う。カンファレンス本体と同じくらい印象的な食事会だった。

人のつながりで成り立っている強さ

Service Experience Camp 全体を通して、人と人のつながりで成り立っているんだなぁという頼もしさを感じた。たくさんのボランティアの皆さん、主体的に関わっていく参加者の皆さん、仕事以上のパッションで関わっているスポンサー企業の皆さん。

ボランティアスタッフみんなで記念撮影

私自身はめちゃくちゃ人見知りだし、どちらかというと引きこもりがちなんだけど(それを信じてもらえないとしたら、意図してそのように振る舞っているからです)、SXC2018の空気に触れて、私自身もアクティベートされた感覚がある。この感覚は忘れないでおきたいなぁ。

当初想像していた以上にオープンマインドな人たちが集まっていて、心が折れるどころか勇気付けられっぱなしだった2.5日間。誰かから勇気をもらうことってこういうことなのか〜と、秒単位で体感していた。世界中がこんな空気で満ちていればいいのに。

会場の写真ブース

誕生日のサプライズ!

これは本当に個人的なタイミングで恐縮なのだけど、カンファレンスと私の誕生日が重なっていて、カンファレンスの中でサプライズのお祝いをしてもらった! 突然の展開にびっくり! そんなこと1ミリも考えてなかったので、ただただ驚くばかりだったけど、忙しいカンファレンス進行の中でそんな企画までしてくれるなんて、オーガナイザーのみんなのバイタリティーに対して感謝しかない。

このときに撮った写真を見ると、他の参加者の皆さんの温かいバースデーソングを思い出すし、いたずらっ子のように笑うオーガナイザーたちの顔を思い出す!

誕生日のサプライズにびっくり!

サプライズの後も、会場で会う人会う人からおめでとうと言ってもらって、まだ話したことがない人もそれをきっかけに話しかけてくれて、気恥ずかしかったけどありがたかったなぁ。

後でお礼を言ったら、オーガナイザーのOlgaには「こういうのが苦手だったらどうしようかちょっと心配していた」と言われ、そこまで考えたうえでやってくれたんだなぁと感激。1日目の記事でも書いたけど、オーガナイザーの人柄がこのカンファレンスのベースになっていると感じた。

とにかく参加できてよかった

以前に Service Experience Camp に参加した人から「とにかくよい!」と聞き、その在りかたに共感して Service Experience GsK をゆるゆるとはじめたりしてきた。そのイベントに実際に参加できて本当によかった。

日本でも Designship が立ち上がったりして、情熱的なイベントも増えているけれど、もっと実際の行動や実践に直接的に結び付くイベントがあるといいなぁと思う。GsKがそんなふうになっていけるとうれしいのだけれど、すぐにできることではない。

どうしたら日本の文化の中に、実践を掲げたイベントやコミュニティーを根付かせていけるかな? 同じ気持ちを持つ仲間たちと、そんなことを考えていけたらいいなぁ。そのためのヒントをたくさんもらって帰ってきたこと。それが何よりの収穫かな!

この記事はこまどりさん主宰の Service Design Advent Calendar 2018 8日目のエントリーでした。

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