2017年6月24日、Xデザイン学校と林事務所共催の日台共創的跨國型服務設計工作坊、Service Design Workshop に参加した。台湾のサービスデザイナーである林承毅氏による路上観察学会のお話も伺える貴重な機会になった。
テーマは「日本人の台湾人化パターンを集める」で、観察・抽出・分析・概念化するところまでが1日目のミッション。台湾・日本の参加者混合チームを作り、フィールドワークに出る。2日目には、それをもとにサービスを考える時間を持つ予定になっている。
私は今回も台中交流工作坊 Cross-Cultual Workshop のときと同様、オブザベーションでひとつのグループのフィールドワークに同行する形で参加。バスで龍山寺に向かい、学業成就の祈願をしたあと、西門でショッピングをするというプランを立てて街に出た。
日本からの参加者がバスの乗ろうとしている様子を、台湾からの参加者が観察。日本人を観察する台湾人のさらに後方で彼らを観察する私、という構図。思わず口出しをしたくなってしまってうずうずするが、そこはぐっと我慢。
シャドウイングとは言っても、観光客としての日本人参加者にわからないことを質問されたら、台湾からの参加者が現地人として答えるという形も兼ねている。龍山寺では、おみくじの引き方や読み方などを教わっていた。
食事の場面では、たまたま相席になった常連さんがいろいろなことを教えてくれた。お店のシステムや調味料の使い方などを知り、にぎやかにごはんを食べた。このあたりからだんだんとフィールドワークであることを忘れてきて、仲良く遊んでいる感覚になっていたように思う。私も普通に楽しく過ごしてしまった。
戻ってからは、パターンの抽出と分析。観察しながらメモしたふせんを並べ、英語、中国語、日本語が入り乱れる活発なやり取りを交わす。言葉の壁を乗り越える工夫はそれぞれ。どのグループも積極的にディスカッションしていた。
このメソッドでは、パターンを概念化するところが肝で、難しいところでもある。事象ではなく一般化できる形で記述する必要があるので、そこに苦労しているグループも多かった。
台湾と日本の習慣や社会システムの違いを見るときにおもしろいなと思ったのは、粒度としては小さな違いではあるものの、他のものと組み合わさることで文化自体の違いがくっきりするようなものがあったり、まるで違っているように見えるのに、よく見るとシステム的には大差なかったりしたこと。
林氏の路上観察についての講義で、蟻の目と鳥の目で見るという話があった。粒度や縮尺については、私自身いつも関心を持っているトピックだ。今回、林氏から路上観察のコツやサンプルなどをお聞きして、視点を持つ際のヒントをまたひとついただいた。
以前からずっと抱いている「事象と概念の行き来ができる能力というのは、どんな教育によって身に付けることができるのだろう?」という疑問の答えも、今回のワークの中にヒントが隠されているような気がしている。