蠍は留守です考

蠍の輪郭を見つめてふける思惟の痕跡

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学習共創型デザイナーと分散型学習共創の考察 ―この1年間の研究活動まとめ―

Xデザイン学校で学ぶようになって、ここ1年くらいずっと大人の学びについての研究の真似事のようなことをしている。ときどき発表なんかもしている。

この1年で行った大人の学び関連の発表は4本。以下がそのタイトル。

  • デザイン学校における学習者の観察
  • Pull&Push型デザイナーと分散型学習共創モデルの考察
  • グループ学習者の行動観察とその手法
  • 学習共創型デザイナーと分散型学習共創の考察

まだまだわからないことばかりだし、研究のお作法自体もまだわかっていないことが多いのだけれど、やれることからやってみるという感じで続けている。

先日のXデザインフォーラムで発表した際には、とても有意義なフィードバックやアドバイス、気持ち面での励ましなどをいただいた。発表のたびにわかることがあるし、様々な方からご意見をいただくことで理解に深みがでる。本当にありがたい。

公開しないの? という声をいただいたりもしたので、これをきっかけに、ここまでやってきたことを一度まとめておこうと思った。以下がこの1年間の研究活動をまとめてPDFにした資料である。

 

こんな感じのことを考えています

どんな研究を続けているのかというと、「学習共創型デザイナー」と「分散型学習共創」というものを仮に定義して、その在りかたについて考察している感じ。

「学習共創型デザイナー」とは

学習共創型デザイナーとは、自分の手元(個人領域)から社会や周辺コミュニティー(全体領域)に自らが見つけたことを積極的に差し出す姿勢と、すでに存在する知識を能動的に受け取る姿勢の両方を実践できる能力、それらを繰り返すことで社会と自分の双方をアップデートする能力を備えたデザイン人材のことを指す。

「分散型学習共創」とは

分散型学習共創とは、学習の方法や形そのものを同期・非同期両方の関わりかたで一緒に作り上げていく共創的な学習プロセスを指す。社会構成主義に基づいた学習観だが、教科書に自らの発見を新しく追加するようなアプローチを行う点が特徴で、学習の主体は学習者にある。
プログラムのソースコードなどの変更履歴を記録・追跡するための分散型バージョン管理システム「git」から着想を得ており、gitにおけるpush・pullの考え方がベースになっている。

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学習共創型デザイナーを主体とした分散型学習共創のモデル

なんでこんなことをしているのか

なぜこういうことに取り組んでいるのか、気持ち面でのことも資料に書いたので、以下に引用しておく。

今、研究に取り組む理由

世界では様々な最新研究が進み、おそらく私が取り組んでいる内容も、誰かがすでに成果や結論を出してくれているのかもしれない(それはありがたいので早く文献を読みたい)。また、私自身の力不足により解釈が適切でない部分や、発想に飛躍がある部分が多々あり、研究としてじゅうぶんには成り立っていないことも承知している(できないことを認めて日々精進する以外にない)。

それでも私が「デザイン」と「学習」の重なる領域に自ら取り組んでみたいと思う理由は、デザインする行為と学習する行為は似ている(同じと言い換えてもいい)という実感、似ている部分を紐解くことでよりよい未来につながる予感の2点を信じているからだ。つまり内発的でエモーショナルな動機と不確かなインスピレーションが先行している。むしろそれらしか持ち合わせていないと言っても過言ではない。

それでも、研究という取り組みを現場の実践者が行ってみることに意味があると考えているから、続けている。内容が生煮えだとしても、それを現場や発表の場に晒してみることが大事だとも感じる。生煮えであることは格好悪いことなのかもしれないが、やってみることでたくさんの人から意見をいただくことができてありがたい。こうした活動を続けることが、自分の提唱する分散型学習共創の実践そのものになる。モチベーションがある限り、信じて続けていきたい。

この研究はこれからも続けていきたいと思う。資料の中にも書いたが、次はチームやプロジェクトとの関わりかたという切り口で学習環境を見ることを考えている。

キーワードとして「密なチーム(プロジェクト)/疎なチーム(プロジェクト)」を据え、それぞれの特徴や関わりかたによる影響などを考えてみたい。

これからもいろいろな人にお世話になりながら、マイペースで(進みは超スローなので…)がんばります!

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