ワークショップでは大人向け・子供向けによらず、よく「色」を使うと思う。しかし、色覚特性に言及が及ぶ場面は少ないなと思う。特に子どもに関しては、「色」が重要な意味を果たす場面が多いような気がしていて、そのあたりのケアを気にしながら見たりしてしまう。
昨年ワークショップデザインについて学ぶ機会があった。プログラムデザインの中のさらに細かい道具立てのデザインになりそうな「色」の話については、ほぼ言及がなかったなと感じている。ユニバーサルデザインに携わる人にとっては常に気になるトピックでも、普段意識したことがない人にとっては考えたことすらない内容なのかもしれない。
この機会に、あまり「色」の見え方について考えたことのない人向けに、グループ分けなどによく使うシールを例に取って、見え方の違いを示せたらいいなぁと思う。
色覚特性ごとにシールの見え方は違う
人による色覚特性の違いは、先天的に発生するものと後天的に発生するものがあるそうだ。日本人の場合、男性では20人に1人、女性では500人に1人の割合で発生すると言われている。
加工なしでの見え方
以下は、単にシールを写真に撮っただけの画像。左から、黄色・赤・青・緑・黒と呼ばれる色の順で5つ並んでいる。
色覚特性シミュレーションでの見え方
眼の網膜にある錐体(色覚の基礎となる視細胞)には種類があり、どの錐体に機能不全が生じているかで見え方が変わる。下に挙げた画像はそれぞれの見え方のバリエーションをシミュレーションしたものである。
ぱっと見ただけでも、赤と緑の見分けが難しい場合だったり、青と緑の見分けが難しい場合だったり、見え方が違うことが分かると思う。もちろん、見え方にはもっとバリエーションがあるはずだ。
「色」がわからない時、どうすればいいのか
よく言われるのは、色の名前や記号をセットにしておくということ。色がわからなくても形はわかるから、何を目印にすればいいかがわかるようになる。
色の区別が付く人にとっては、色は直感的にわかりやすい目印になるので、色を使わないという選択肢はありえないだろう。だけど、ほんのちょっとの工夫をするだけで、カバレッジを広げられることがたくさんある。
「色」ってにぎやかだし楽しい。カラフルなだけで気持ちが上がるし、パワーをもらえる。その時に、自分の見え方だけが「当たり前」じゃないんだということを、ちょっとだけ意識しておくことが大事なんじゃないかな。
カラーシールにかぎらず、ちょっとだけカラーユニバーサルデザインの知識を取り入れると、もっとすてきに広げることができるかも? と思うことがある。これまでカラーコーディネーターとしての知識を活かしつつデザインなどをやってきたけれど、最近はワークの小道具デザインやコンサルティングなんかもできるんだなぁと気が付いた。
もし必要性を感じる方がいれば、相談に乗ることもできると思うので、お声がけください。