蠍は留守です考

蠍の輪郭を見つめてふける思惟の痕跡

20170509013806

業界で違う色の規格

クライアントとUIについて議論している際に、あまりきちんと意識してこなかった事実について考える機会があった。

ソフトウエアやアプリケーションを扱っていると、「緑は正常系や追加... /赤は異常系や削除...」というお作法を(意識的にせよ無意識的にせよ)持っていると思う。赤と緑は色覚特性によっては見分けが難しい色なので、形状の変化とセットで色を与えるわけだが、その色のお作法が業界によっては真逆になり得ることがある。

たとえば、受配電盤やプラント動力盤についての規格「日本配電制御システム工業会規格 JSIA 113 キャビネット形動力制御盤」では、

7.10 監視・操作機能動力制御盤の監視・操作機能は,次による。運転表示:赤/停止表示:緑

と明記されている。

しかし、工作機械や一般産業機械の制御盤についての規格「表示装置(表示部)及び操作機器(操作部)のための色及び補助手段に関する規準 JIS C0448」では、

6.1.2 停止/オフ用操作機器(操作部)
・・・(略)・・・
最も適切な色は黒で有るが、赤でも良い。但し緑は使用しない

6.1.3 始動/オン用操作機器(操作部)
・・・(略)・・・
最も適切な色は白であるが、緑でも良い。但し赤は使用しない

と明記されている。

感覚で見ると、まるで逆なのである。こういう事実があるため、工場や現場などでは、違う色のお作法を持つパネルが並んで存在することもあるのだとか。クライアントさんの現場でもそういった事例はあるらしい。

業務システムを開発する際にアプリケーション的な色のお作法を適用するのは当然のことなのだが、ある業界のたくさんの部署を横断するような事例の場合、全く違う意味合いでその色を見つめている現場の人がいるかも、ということを覚えておいた方がよさそうだ。

本当はもっと現場に行って参与観察の機会を作れたらいいんだけどな。それは今後うまく働きかけていきたい点のひとつ。座ってフィードバックを待つだけでは、なかなか到達できない地点がある。


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