ある信頼するお友達と食事をしている時に、彼女は言った。
「整備されすぎると、個が弱るのかもしれない」
思い起こせばその会話をしたのが4月のこと。会社だとか団体だとか雇用そのものだとか、とにかくキャリアにまつわる話をしている時に出た言葉だ。最近になって、プロジェクトマネジメントをする時のパターンみたいなことが話題にのぼった時に、ふと思い出した。
なぜ思い出したのかを簡潔に言うと、整った雇用の枠組みに対する被雇用者のスタンスと整った段取りに対する作業者のスタンスは似ているのかもしれない、と感じたからだ。
段取りは言うまでもなく大事なのだけれど、段取りし過ぎるとされる側は受け身になる傾向があるように思う。期待値通りの動きをしてくれないケースもある。だから、最初に綿密な段取りをするのであれば、それと同じだけの密度でプロジェクト進行をコントロールしないといけない。
段取りと収束のバランスを取りつつ、作業者個人個人の特性も考慮して、作業者個人個人のスタンスまでマネジメントしていくのがPMの仕事。どういうバランスで乗りこなしていくかは、PMの個性次第なのだろう。
同じことが雇用の枠組みにも言えて、どんな雇用環境を作るかは作る側の価値観や個性が大きく関わる。もちろん、保険だの年金だのはちゃんと整備されてしかるべきだけれど、そういう最低限のことから先、いったい何を整備してどこに余白を持たせるべきなのか。
少なくとも、今、何から何まで整備されていることだけがベストプラクティスだとは思えなくなっている。何を大事にするかってだけなのかもしれない。というのは頭ではわかるけれども。
自分はこれから先、何をどんなふうに整備したりしなかったりするのだろう。時代の流れの中であれやこれやと試してみないとわからないよね。
そんなふうに考えたあれやこれやを伝えたら、彼女はなんて言うだろう。楽しみだ。