あまり服装に対するこだわりは強くないタイプだと思う。正確には、おしゃれ的な意味でのこだわりは薄い。着心地とか温かさはある程度ゆずれないのだけれども。
「ファッションは自己表現だ」という考え方がある。それはそうだと思う。しかし「ファッションで個性を表現する」という言葉には違和感を感じることが多い。個人的には、ファッションは個性を覆い隠すための手段であると思っているからだ。
個性ってなんだろう? 年代物のジーンズとか、ピッカピカのアルマーニとか、華奢なピンヒールとか、それって個性なのだろうか。
服やアイテムを身に着けることによって得られる雰囲気や空気感はあるし、それを利用して自己演出をするのも可能だと思う。こういうシャツを着ている自分が好きなんだ、このブランドのイメージに近い人間に見られたいんだ、などというふうに。
でもそれって、その人の個性とは違うように思う。
裸になってみれば、その姿は実にバラエティ豊かだ。骨格とか筋肉とか体毛とかパーツの大きさとか、おんなじ人はいない。それを覆い隠して、都合のいい自分を作るためのツール。
むき出しの個性を覆い隠して自己演出するためのツールなんじゃないかな、ファッションって。
表現したいものは「自分がこうありたい/こう見られたい」って思ってる自分の姿であって、それが自分の内面と一致していることもあれば、していないこともあるんだと思う。