大型連休中の話なので、だいぶ前のことになるが、「予感研究所3 アート+テクノロジー+エンタテインメント=? ! あなたの予感⇔研究者の予感」に行ってきた。
「予感研究所」の作品は、JSTの研究領域「デジタルメディア作品の制作を支援する基盤技術」のプロジェクトの中で育まれたもので、今回は3回目の開催とのこと。
予感ひょうげん研究室、予感まんぷく研究室、予感かんかく研究室、予感なりきり研究室、予感ラウンジという展示エリアがあって、各テーマごとの作品が展示されていた。
中でも目を引いたのが全天周コンテンツを映し出したPanorama Ball Visionという球体ディスプレイ。未来館シンボル展示のGeo-Cosmosともまた違う方式のディスプレイとのこと。ちなみに映されていたのはフジファブリックの『Sugar!!』だった。
光源がくるんくるん回って、ビジョンを作り出している。いろいろ質問をしたら、わざわざスイッチを切って見せてくれた。どうもありがとうございます。こうやって見ると仕組みが分かりやすい。
その他も全部興味深く眺めたけど、特に気になったのは、Touch the Small WorldとかVirtual Shadow Puppetとか。
Touch the Small Worldはざらざらやでこぼこといった感覚を再現するデバイス。これからのデバイスには絶対的に触覚が必要になってくると思うんだけど、その方面の可能性の広がりを感じさせられる。
Virtual Shadow Puppetは自分の影が影絵人形に変わるというもの。子供たちが影絵人形と一緒に踊っている様子がとても楽しそうで、彼らはどんな新しい技術でも真っ先に楽しみに変える力を持っているんだなぁって嬉しくなった。
今回のチャレンジが『研究と社会がどうつながるのか』だと説明されていたが、社会に自分の研究を語って意見やフィードバックをもらうという試みは、作る側にも見る側にも素晴らしいものをもたらすと思う。
影絵を楽しんでいた子供たちのように、技術と直接ふれ合うことで科学や技術が好きになることもあるだろうし、そこから次の世代が育つということもあるだろう。何かしらの技術が側にある毎日が当たり前になっている今だからこそ、そうした対話が重要になるんじゃないかと思う。
みんながみんな科学好きになる必要はないけれど、研究者が満足に研究できる環境を守ったり、子供たちが科学の楽しさに触れられる機会を増やしたりするのは必要なことだと感じる。そういう領域を縮小されてしまうのはやっぱり避けたいことだし、減らされたら切ない。
1年後や10年後や100年後を作っている人たちがいて、それを受け継いでさらに先へ進む人がいる。私の暮らす日本には、いつまでもそういう国であってほしい。
そもそも私達みたいにコンテンツを作る仕事をしている人種にとってみれば、こうした様々なデバイスを利用してコンテンツを作るって、すごく楽しいこと。ワクワク眺めるだけだったものが自分の手元にやってくる日は、案外とても近いものだと思う。ここで見た技術がすぐ仕事としてやってくるのかもしれない。