蠍は留守です考

蠍の輪郭を見つめてふける思惟の痕跡

20170509013806

青森県庁がアクセシビリティ講演会をUstreamでライブ中継

本日の夕方、青森県庁さんでアクセシビリティ講演会が行われ、その模様がUstreamでライブ中継された。Twitter ハッシュタグ #aomolive も利用され、行政としては画期的な試みだったのではないだろうか。

講演会のスピーカーは、森田雄さん。

森田雄さんのお話のまとめ的メモ(超ざっくり)

情報発信の第一歩:Webサイトを持つということ

  • Webサイトはメディアとして機能
  • 唯一ともいえるユニバーサルメディア
  • 公共的な情報にはWebからの情報発信が欠かせないものとなっている

アクセシビリティが必要なのは障害者に限らない。一時的に怪我をしている状況、荷物を持っている状況、吊革につかまっている状況、暗い環境、騒音の激しい環境など。

アクセシビリティ対応が面倒だと言うデザイナーもいるが、その人たちも怪我をすれば使いにくそうにパソコンを使う。そうした状況に置かれると急に意識するが、やっぱりすぐ忘れる。誰でもいつでもそういう状況に置かれる可能性がある。

発信した情報をきちんと受信してもらうために

情報伝達に立ちはだかる主な障壁

  • Webサイトやコンテンツの問題
  • 使用環境(デバイス)の問題
  • ソフトウェアの問題
  • リテラシーの問題

アクセシビリティにコストがかかるとか嘘。嘘じゃないけど嘘。手間もお金もかかると思われているのでやらないところも多いが、場合によってはコストはかからない。やらなくてもいいようなチェックにコストがかかっている場合がある。

簡単に対応できるアクセシビリティ対応の2つのポイント

テキストをどれだけ出すか

  • 画像を使ってもFlashを使ってもよいが、それに対する適切なテキストを用意する。
  • 何かの代替品としてのテキストという考え方よりも、テキストをメインで考えた上でリッチなコンテンツをプラスするぐらいの考え方がいい。
  • テキストならほぼ全てのソフトウエアで利用できる。
  • テキストがあればわりとどうにかなる。
  • 色使いなどを気にする前に、とにかくテキストを用意する。

クリックできる範囲を気持ち大きく設定する

  • ほんの少しのことだけれど、上肢障害者などにはてきめんに使いやすくなる。
  • あまり小さなフォントを使わない。
  • クリックできるボタンのエリアを広げる。
  • 画像をギリギリで切らないで気持ち大きく切る。
  • クリックできる面積だけでなく、クリックできる時間も長くする。
  • オンマウスで出現するサブメニューなどはクリックで表示されるようにするとか。
  • シュッシュッてやるパッドは馬鹿にしてるのかってぐらい使いにくい。
  • トラックボールなどの操作も難しいことがある。

もっと楽しいWebのエクスペリエンスを体験したいけど、デバイスやソフトウエアの問題のせいでできないこともあって、デススパイラルな感じ。最新型のデバイスやソフトウエアを使わなくても情報が取得できるようにコンテンツ側の歩み寄りも必要。

コンピュータはどんどん新しくなっていくけど、情報格差はどんどん広がる。古い環境は捨てられてしまって、情報取得自体ができなくなる。しょうがないかなと思いつつも自分が捨てられる立場になったら切ない。統計で考えるから他人事になる。もう数十年たてば自分も情報弱者になるが、サイトとか楽しく使いたい。

いろいろソフトも出るが、売れないから最新版が出ない。高いし。偉い人が一生懸命使いやすいものを作ってくれてるので新しいものを使えばいいのに、古いものを使い続けている人がいるからサポートせざるをえない。みんなが不幸になる感じ。

自分のリテラシーを高めようという意識も大事。自分がその情報を得たくてアクセスするわけだから、自分のリテラシーが高ければなんとかなったりする。教育と啓蒙活動と自主的なお勉強が必要。

双方向での情報伝達

受信者からも情報は発信されている。発信者は正しくそれを受け取らなければならない。

  • 検索
  • 問い合わせ
  • アクセス解析
  • サイト改善、継続的な運用
  • Webガイドライン

どういう検索ワードを使っているかがそのまま県民の声といえる。頻繁に検索されるワードであれば、メニューに入れてしまえばよい。

県庁は何かを売っているわけではないので、問い合わせが増えればよいというわけではない。どちらかというと問い合わせは減る方向に進む方が正しい。

窓口で感じる不満もサイトで感じる不満も本質は同じ。対面業務の代わりにアクセス解析がある。迷っている人には案内が必要。

双方向でのやり取りを永続的に続けていくことで生活上の不便を解決できる行政業務ができるのでは。人員の入れ替えがあっても培ってきたものがゼロにならないように、ガイドラインを置くことが重要。ガイドラインを改訂していくことも必要。

モデルケースとなっていくことで引っ張っていってほしい。


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