蠍は留守です考

蠍の輪郭を見つめてふける思惟の痕跡

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Big Tent Sendai 2012 に行ってきた

去る7月2日、「Big Tent 2012 自然災害と IT 活用に関する国際会議」に参加してきた。

前職で公的機関のサイト制作をしていたこと、私自身が福島生まれ&仙台近辺(名取市)にある学校出身であること、東日本大震災ではパーソンファインダーにずいぶん助けられたこと、今も家族が福島に住む中で必要とする情報があること… などがあり、自然と関心が向いたイベントだった。

カンファレンスの内容

カンファレンスではほぼ丸一日を使って、テクノロジーが持つ可能性の探求、先進事例と成果の共有、乗り越えるべき課題についての議論などが行われた。

プログラム表紙と同時通訳機

国際会議なので、同時通訳機も登場。できるだけスピーカーご本人の言葉を聞きたかったのだが、通訳なしではやっぱり頼りなく、だいぶお世話になった。

セッションのテーマ

  • 被災地で求められる情報とは何か
  • みんなで作る地図 - 災害救助における市民参加型地図製作の意義
  • マルガレータ・ワルストロム氏(国連事務総長特別代表 防災担当)による基調講演
  • ネットからリアルへ:救助・救援・復興まで、被災地における支援の計画と管理
  • 災害時のソーシャルメディア活用法について考える
  • 次世代の緊急警報放送:身近なテクノロジーを活用した効率的なコミュニケーション
  • 災害のアーカイブデータを活用する
  • 災害に強い通信インフラストラクチャーとインターネットの構築
  • 政府の情報を人命救助に役立てる:データへの自由なアクセスと情報共有
  • 震災対応におけるIT活用の未来

特に興味を持った内容

個人的に強く興味を持っているのは、アーカイブデータの活用や情報共有についてなので、DataKind創立者であるジェイク・ポルウェイ氏のOpenDataに絡むお話が面白かった。また、The Asia Foundationのミシェル・チャン氏に興味を持った。

なにせ長い一日だったので、心に留まったワードをざっと箇条書きにするに留めておく。

  • OpenData
  • 情報の時代からデータの時代へ
  • 「政府のデータ」←→「クラウドソーシングデータ」どう取り扱うか?
  • ビッグデータはすでにキーではない(ただそこに存在するもの)
  • セマンティクス、フォーマット、標準化
  • その策定には明確な定義とリーダーシップが必要
  • データを活かすためのビジュアライズ
  • 上層を動かすためのストーリーテリング
  • テクノロジーだけがソリューションではない
  • ローカルコミュニティとの協業が不可欠

私は毎年セマンティックWebコンファレンスにも参加しているのだが、そこで議論されているような内容がようやく本当の意味で必要とされる時が来たのかなぁと思った。Webの世界ではマネタイズしづらいものはバズりもしないし、なかなか重要視されない側面があるのだが、Webだからこそできることがまだまだある。

あと、少し関係ないかもしれないが、こういった文脈の中でストーリーテリングが登場したことに、すごく納得した。一時期ややバズった感がああるストーリーテリング、今回はじめてきちんと有効性に触れた気がして、妙にそわそわした。

いずれBig Tent公式サイトやYouTubeにアーカイブが載るはずだと思うので、興味のある方はフォローしておくとよいかも。

個人でも利用していること

セッションの中では、amazonさんのほしい物リストの事例も紹介された。私も個人的にふんばろう東日本支援プロジェクト動物班の支援のために、ほしいものリストを利用している。

ほしい物リストのようなしくみをどう利用するかといったような、ほんの小さな工夫。それらがいくつか積み重なっていく中で、知見としてさらなる前進を生み、これからの社会にとっての大きなインパクトにつながるという側面もあるのだと思う。


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