「ケータイ向けTwitterサービス『モバツイッター』とアクセシビリティ」セミナー & だれもが使えるウェブコンクール中間発表に引き続き、だれもが使えるウェブコンクール表彰式&シンポジウムに参加してきた。
当日の様子を映像で見たい方は、Ustreamの録画から閲覧が可能。
以下は自分用のメモ・まとめ。正確でない点あるかもしれないのでご了承を。
基調講演「生活を支えるウェブサイト」
岩城陸奥さん(株式会社ミラコム 代表取締役)
- インターネット人口:9091人、人口カバー率:75.3%(※2009年)
- 年齢別に見ると 13歳〜49歳:90%、50歳〜59歳:82%、60歳〜64歳:63%、65歳〜70歳 38%
- キッズ向けの情報サイトはあるのにシニアはない?
- 日本の広告費:テレビ/1兆7139億円、ネット/7069億円(2009年 電通)
- ウェブはライフラインになった ⇒ 生活に欠くべからざるメディア
- インフラは誰でも使えるもののはずだが、使えないものもある 例)文字の小さいサイト、字幕のないテレビ、横断歩道のない交差点、座席が畳まれる山手線...
- よい兆候もある 例)PANASONIC CM に字幕、Google 動画の音声に字幕、座席が畳まれる山手線廃止...
- 効率が唯一の価値観? ⇒ 効率は効率に追い越される
- 障害だけがストレスではない
- 魅力のあるコンテンツなら努力して見る
- 誰もが年を取る:例外はない
- 技術よりヒトの研究を
トークセッション「市民にとって使いやすいウェブとは」
- モデレーター:瀧澤正和さん(日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 アクセシビリティ・センター技術支援担当課長)
- 松田基章さん(NPO法人ハーモニー・アイ理事:支援者代表)
- 園順一さん(NPO法人ハーモニー・アイ理事:視覚障害者代表)
- 菅野さん(シニア代表)
ウェブをどのように役立てているか
園さん
- 基調講演での字幕の話について
- 2005年から3年間ぐらい、視覚障害者が使う情報。源が何か調べた
- 一番多かったのがテレビ(副音声など)
- 外国人のインタビューは字幕、情報が得られない
- 最近のウェブでは画像など多く取り入れられているが、画像のみでは視覚障害者にとっては役に立たない
- スクリーンリーダーで文字情報を読むことはできるが、本来の目的に辿り着くまでとても時間がかかる
- 現在の生活の7割ぐらいはウェブを元にして情報を得ている
- 路線情報、オンラインショッピング、オンラインバンキング...
- 一昔前に比べれば時間をかけながらもインターネットを利用することができている
- タイトルや本文情報に早く辿り着ければ、SEO対策にもなる
菅野さん
- 50代60代のインターネット使用率はますます上がってくると思う
- 今いちばんよく使うのはスーパーや生協のネット注文
- 月に1回か2回はお芝居やコンサートのチケット情報を検索する
- 自治体のサイトも月に1度ぐらいは確認する
- 旅行情報や路線情報もよく利用する
- 重い物でも何でも好きな時間に買い物できるのが嬉しい
- 使いづらいと感じる点もある
- Flash(という言葉も今日初めて知った)が目立ち、メニューの場所が分からない
- 高速観光バスサイトなどでは、宣伝ばかりが目立って申込ボタンの場所が分からない⇒その会社のサービスを利用するのはやめた
- 自治体サイトでごみについて調べていたら有料の広告バナーを押してしまった⇒自治体にやめてほしいと意見を送った
- 画像の上にテキストが貼り付けられているサイトも使いづらかった
松田さん
- 携帯について
- らくらくホン:携帯は30万台が1ロットらしいが、3万台しか出ていない
- iPhoneの出荷台数とは比べ物にならない
- ディズニーランドのページが探せなかった高校生も携帯だと探せた
- 自治体サイトなどのPDF、スキャンしただけのものにはアクセスできない
- 楽市楽座:使いづらいサイトだったので要望を出して変えた
会場の質問:文字サイズはどのくらいが適当か?
園さん
- 基本音声ブラウザを使っているので気にしていない
菅野さん
- あまり小さくて字詰めがぎゅうぎゅうだったら読まない
- サイズだけでなく文字組みとのバランスもあると思う
松田さん
- 好きなようにサイズを変えられるので特に気にしない
- ただ色のコントラストは保ってほしい
スクリーンリーダーの使い方
園さん
- トリプルクリックでジャンプできるものもある
会場の質問:普段から殺伐とした感じでサイトを使っているのか? 拒否するだけでなく今後使いたいと思うか?
菅野さん
- 動きのあるサイトそのものを嫌っているわけではない
- 動きを前面に押し出してくるサイトほど、ナビゲーションが分かりづらい
- 動きある楽しいサイトを眺めるのは好き
- メニューのボタンなど分かりやすく作ってほしい
- 頑張ってください
松田さん
- 勝手にボーンと出てくるから困る
- 選択肢があったり避けることができれば困らない
園さん
- 残念ながらわずかに動いている程度にしか見えないので気にもならない
- 音楽が流れてリンクの個所が分からない時などもある
- 分からないと諦めるしかないので、音を止められるようにはしてほしい
最後にひとこと
菅野さん
- 視覚障害や高齢者にとって使いやすいサイトは全ての人にとって使いやすいはず
- お問い合わせ先や電話番号などもきちんと載せてほしい
- ちょっとした配慮でお客様は増えると思う
松田さん
- 画像認証の音声認証はクリアしてほしい
- JISに準拠しているからOKと思わないでほしい
- 背景には様々な方がいるので、愛を持って作ってほしい
園さん
- PDFはブラウザ内で表示する方法とAdobe Readerで表示する方法がある
- 政党のページなどでもPDFが読めないページがある
- メーラーなどでも初期値がHTMLメールのものがある
- メーカーやベンダーはソフトの初期値などをよく考えて作ってほしい
誰もが使えるウェブコンクール表彰式
金賞:社団法人日本眼科医会
http://www.gankaikai.or.jp/
総合得点:88.91点(モニター評価:48.65 / 技術審査:40.26)
銀賞:広島県府中市公式ホームページ
http://www.city.fuchu.hiroshima.jp/
総合得点:87.96点(モニター評価:46.91 / 技術審査:41.05)
銅賞:ゆうゆうゆう 障害者に役立つ!ユニバーサルネットコミュニティ
http://www.u-x3.jp/
総合得点:85.41点(モニター評価:38.92 / 技術審査:46.49)
審査委員長のコメント
- 上位3サイトに関しては、モニター評価と技術審査が一致していたので悩まなかった
- 市民モニターとはいえ、技術的な知識を持っている人も多くいたようだ
- 基本的なところでさすがにクリアしているだろうと思われる属性などがないサイトもあった
- 配色のコントラストに関しては、ほとんどのサイトがチェックに引っかかってしまった
- 文字を拡大するとレイヤー同士が重なって読めない個所が意外と多かった
- Flashのチェック項目をクリアしたサイトはなかった
Adobeの取り組むアクセシビリティ FlashやPDFを利用したアクセシブルなコンテンツ作成
- 西村真里子さん(アドビ システムズ)
- 伊藤紀之さん(だれもが使えるウェブコンクール実行委員会 審査委員/有限会社トゴル・カンパニー 代表取締役)
- 森田雄さん(だれもが使えるウェブコンクール実行委員会 統括ディレクター/読書家)
西村さんからAdobe製品の紹介があったあと、森田さんによるWordからアクセシブルなPDFを作成するデモ、伊藤さんによるFlashアクセシビリティの解説が行われた。Flashアクセシビリティの資料もすでに公開されている。
他、Adobe Flash CS4 Professional のアクセシビリティコンテンツについてのページや、技術評論社での連載Flashのアクセシビリティについて考えるも参考にしたい。
あと森田さんがおっしゃっていたアドインは2007 Microsoft Office プログラム用 Microsoft PDF 保存アドインとのこと。
中央省庁のホームページ・バリアフリーに関する調査
江澤岸生さん(総務省 行政評価局 官房審議官 行政評価局担当)
総務省行政評価局について
4つの役割
- 制作評価
- 行政評価・監視、各府省の業務の実施状況について評価及び監視を実施、行政の運営及び制度の改善を推進
- 独立行政法人評価
- 行政相談
行政評価・監視の流れ:行政評価等プログラムの策定⇒行政評価・監視の実施⇒勧告等⇒フォローアップの実施
調査の背景
身体障害者の増加、高齢化率の増加、高齢者のインターネット利用の増加、障害者のインターネット利用の増加、電子政府の総合窓口へのアクセス件数の増加、各府省ホームページのアクセス件数の増加
利用者の意見
- 音声読み上げソフト等の支援技術とインターネットの広まり
- 能動的かつリアルタイムに情報を取得可能
- 自立のモチベーションが高まる
しかし、
- 音声読み上げソフト等の支援技術が使いにくいホームページも...
- ホームページ制作者側の配慮が不可欠
政府の取組方針
「電子政府推進計画」
- JIS X 8341-3 を踏まえた高齢者・障害者に配慮したホームぺージの作成等を進める
- すべての人々にとって利用しやすく、分かりやすい行政情報の電子提供に努める
調査事項の概要
- 調査対象期間:全政府(1府11省+21外局)
- 調査対象ホームページ:34サイト(1府11省+21外局+1機関)
- 調査対象ウェブページ:各府省トップページ、アクセス件数が多いページ など
調査方法
- ホームページ調査:JIS X 8341-3:2004 等を参考にチェックリスト作成
- 職員による調査:目視、キーボードによる操作、音声読み上げソフトによる読み上げ、チェックツールによる点検
- 調査体制:当局職員2名
- 調査期間:2009年(平成21年)8月〜(現在まで7か月)
調査の進捗状況、今後の予定
- ホームページの調査は終了
- 調査結果を整理中
- 調査結果の公表:平成22年4月以降
- JIS X 8341-3:2004 の改正も見据え、各府省ホームページのバリアフリー化の推進に反映
まとめ
- 障害者数、高齢者数(増加傾向)
- インターネット利用率(増加傾向)
- 国の行政機関ホームページの利用率(増加傾向)
- 障害者、高齢者におけるホームページの利便性の向上が必要
- 超高速超高齢化社会における基盤づくりのひとつ
- 世界最先端の課題、日本モデルを世界のモデルに