蠍は留守です考

蠍の輪郭を見つめてふける思惟の痕跡

20170509013806

第2回HCD-Netサロン「もの作りとしてのWebデザイン」

「第2回HCD-Netサロン Webデザインと人間中心設計 - もの作りとしてのWebデザイン」に参加した。「人間中心設計=Human Centered Design(HCD)」について前々から興味があったことと、今後の電子政府ユーザビリティ・ガイドラインの動向をフォローしたいというのが大きな理由。

第2回HCD-Netサロンの様子

自分なりに思ったことなど、ざっくりとまとめてみる。

2つのデザインアプローチ

はじめにパネラーの方々の事例紹介があった。中でも山崎和彦さん(千葉工業大学)の話が抜群に聞きやすく、またおもしろく感じた。

  • 論理的な手法を活用してデザインする
  • センスや体験でデザインする

前者はすでに手法が定まっていることにより、複数人・グループによるコラボレーションが容易だし、国際的な共有も可能。後者は個人的なセンスに依存するが、しかし、後者にしてみても、突き詰めれば結局やっていることは同じなのだというお話。

友人(=ペルソナ)が満足するため(=プロジェクトの目標・目的)に照明を作ったリチャード・サッパー氏の例を分かりやすく挙げられていた。

優れたデザイナーは感性で論理を探り当てることができるということなのだろう。手法を机上で勉強するというより、手を動かすことの大事さを感じさせられる。ひらめきのみで仕事ができれば、苦労しないのだろうが。

共通認識としての手法理解

パネルディスカッションに入り、いくつかの細かいテーマが挙げられたが、個人的にはもっとこの時間がいちばん興味深かった。

  • (デザイナーはすでに意識しているので、という文脈で)むしろクライアント側が勉強する必要があるのでは?
  • デザイナーとクライアントが目的を共有することが大事
  • デザインの手法だけ勉強してもしかたない
  • デザイナーも現場に立って気付きのスキルを磨くべき
  • 一人で仕事するには手法はいらない
  • コラボする際、メンバーには最低限手法を理解していてほしい
  • 全員がプロセスを体験できることが理想だが、分業では難しい面もある
  • デザイナー=ブラックボックスみたいなもの。手法を活用することでデザイナー意外のいろいろな人が参画することができる

手法は目的に向かうための手段だと思っているので、手法を用いる時点で目的ありきなのは必然。目的を共有するために必要な共通認識として手法を捉えると、確かに最低限の理解は必須だなと思う。

なんだか話全体が「結局はセンス」みたいな流れになっているような気がしないでもなかったが、「それでは身も蓋もないので(笑)」と長谷川さん。確かに、身も蓋もない。

そんなこんなでパネルディカッションの時間も終わりになったが、目的を共有するためにはどうしたらうまくいくのかとか、組織の中でどう役割分担をするのが適切なのかとか、そもそも自分の属する組織にそれを浸透させるためにはどうしたらいいのかとか、全く整理が付かない状態でぐるぐると溢れてきた。

それはパネラーの皆さんに求める話ではないのだろう。自分の答えはどこにあるのかないのか。今後、仕事をする中でひとつずつ考えていければいいのかなと思う。


参考URL

Copyright © Hitoyam.