どんな仕事をしていても、作ってもらう側の人でなくなることはありえない。作る人であるという自負が強くなると、それを忘れてしまう。作る仕事をしているなら、そのことに自覚的であった方がいいのではないかと思う。
チームで自分の手の届かない領域のものを作ってもらえる頼もしさ。自分が使う道具を作ってもらえる心強さ。自分が着る衣類を作ってもらえるうれしさ。毎日のごはんを作ってもらえるありがたさ。街を、家を、電気を、ガスを、火を、水を、暮らすためのあらゆるものを作ってもらっているのだ。
クリエイティビティなんてありふれた言葉は、実は世の中のあらゆるところに存在している。そこに特別なことなんて何もないし、特権なんてものもない。もっと言えば、そもそも人間だけが何かを作っているわけではないし、人間だけのために何かが作られているわけでもない。
謙虚に、自覚的に、あらゆる「作ってもらう」体験を受け止めていたいものだと思う。そのひとつひとつが、いずれ自分に返ってくると信じて。受け止めながら、作るのだ。