蠍は留守です考

蠍の輪郭を見つめてふける思惟の痕跡

20170509013806

無印行かなきゃシンドローム(仮)

無印に行かなくちゃ、無印に行かなくちゃと思ってやっとやっと来たのに、何を買うのかちっとも思い出せない現象に、適切な名前を付けたい。名前を付けて、そのような現象を丁寧に供養して、二度と現世に現れないようにしたい。

それは定期的に訪れる。「あっ、無印に行かなくちゃいけないんだった!」

急かされるように、私は無印に行く。メーヴェに乗ったナウシカのように颯爽と、最短距離で無印店舗へと飛んで行く。「あそこの店舗じゃなきゃ置いてないから、あそこじゃなきゃダメなんだよね!」ってことすらある。

しかし、あの独特の落ち着いたフロアに足を踏み入れ、角の取れたBGMを耳にしていると、気付くのである。「あれ…今日は何を買わないといけないんだっけか…?」

確かに理由があった。購入したい/しなければならないものがあるはずだ。購入すべきものに対する突き上げる衝動と少しの義務感によって、わざわざ時間を作ってまで、私は無印にやってきたのだ。

なのに私は何を買うべきかをすっかり忘れ、わー新しい毛布が出たんだー欲しいなーとか、レトルト食品の種類増えたなーとか、クラフト封筒買い置きしたーいとか、そんなことばかりに気を取られ、最終的に何を買いに来たのか思い出せなくてもいいやという心境にまで達するのだ。

これが世の人々を悩ませる、無印行かなきゃシンドローム(仮)である。なんなのだ、あれは、いったい。

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