蠍は留守です考

蠍の輪郭を見つめてふける思惟の痕跡

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Fearless Change アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン

アジャイル界隈の人ならたぶんみんな大好きリンダ・ライジングさんの著書「Fearless Change」の翻訳本が出た。さっそく読んだ。

Fearless Change アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン」という邦題で、川口恭伸さんが監訳。表紙デザインも原書とだいぶ雰囲気が変わって、楽しげになった。イラストのタッチも原書よりだいぶくだけた感じ。(この本に限らず、洋書のイラストって日本人の感覚だと理解しがたいものがあると感じている)

原書と翻訳本

パターンとかパターン・ランゲージとか、そういうものを読んだり眺めたりしていく時には、それ自体にすごく大きな発見はない。それらひとつひとつを自分がどう積み重ねて何を成していくのか、それを想像しながら読むことが鍵になってくるような気がする。

一言で言えば、パターンは専門知識をつかまえる方法である。「パターン」は、繰り返し用いられたベストプラクティスをある状況における問題への解決方法の形式で文書化したものを指す。パターンはよいアイディアをただ文書にしただけではなく、さまざまな環境においてさまざまな人々が上手に活用可能な戦略になっていることが重要だと、私達は考えている。

本書では、パターンの使用例や適した状況などがとてもわかりやすく示されている。ストーリーといった形で読ませてくれるので、しかくばらずに読める感じもいい。何より翻訳本でうれしいところは、英語で読んでいてニュアンスがわからなかったところの確認ができることで、それは本当にうれしい。

原書読んだなら翻訳本いらないんじゃない? と言われることがあるが、原書を持っていても翻訳本が出たらたいがいは買う。なぜならば、いろいろ確認したいことがあるからだ。自分に英語力がないもので、とんでもない読み違いをしていたら切ないからだ。

ひとつだけ個人的に残念に思っているのは、サブタイトルみたいなところに「アジャイルに効く」って付いてしまったこと。私は原書にそれが付いていないのが気に入っていて、アジャイルをやる人だけに読まれるべきものではないと思って読んでいたからだ。ITやアジャイルの文脈に関係のない友人知人にこそ、この本を薦めたいなと思っている。

原書の「Fearless Change: Patterns for Introducing New Ideas」の方は Kindle 版も出ているので、原書に当たりたい人はそちらもオススメ。

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