漫画の単行本には「あらすじ」があるものがある。長く連載が続いているコミックスなどに見られるが、私は子供の頃からそれが気になってしかたなかった。長くなると、まとめるのが大変なのではないかと。
3巻目は、1巻と2巻までの内容をまとめればよい。しかし、20巻目は19巻分の内容をまとめないといけない。主要な出来事を適切な粒度で説明するのは、不可能に近いように思う。ストーリーの土台を表せばよいのか、直近の流れのみを表せばいいのか、フォーカスの方向を定めないといけない。
それは自分の生きてきた道筋にも同じことが言えるのだなぁと思う。単なるサマリーではなく、続いてゆく物語の中で生まれるナマモノ。自分の持っている様々な記憶をどんなふうに編めば、自分の(あるいは他人の)これまでを表せるのだろうか、ということに興味がある。
そんなふうに言うと As-Is のジャーニーマップを描きなさいよ、みたいなことをあっさり言われそうだが、デザイン手法としてのジャーニーマップは、あらすじを表現するには機械的にすぎるような気がしている。どんなに詳細にプロットを打ったとしても、あらすじ(=なめらかなシナリオ)に落とし込むには、ただメソッドを踏襲するだけでは補いきれない行間がある。
考えてみればみるほど、あらすじは深いなと思う。いろいろなあらすじを集めて検証してみたらおもしろいのかもしれない。あらすじというものをもっと真剣に考えてみるのもいいなぁ。