蠍は留守です考

蠍の輪郭を見つめてふける思惟の痕跡

20170509013806

WDE ex -Vol10 『Webフォントの未来』

前回のWDXはタイポグラフィーのことだったが、今回はウェブフォント。個人的には技術的なフォーカスよりも、現在の状況と今後の動向が気になっている感じ。

講演内容の感想など

スピーカーはジョン・ダゲット氏。Mozilla Japan グラフィックス&テクスト エンジニアで、W3C CSSワーキンググループ CSS3 Fontsエディターのダゲット氏は、ちょっと日本語を勉強しようと思って来日して、気が付いたら8年目になったそう。

WDE ex -Vol10

当日使用されたスライドはダゲッド氏のブログから見ることができるし、Togetterでのまとめも作成されているので、詳しい内容はそちらでどうぞ。

WOFFのこと

WOFFとはWeb Open Font Formatの略で、ウェブ専用の新しいフォントフォーマット。OpenTypeデータの可逆圧縮で、追加のメタデータも定義可能。

ウェブ制作をしている人々からすれば、当然のごとく興味がWOFFに集中するのだが、種類の貧弱さとライセンスの問題がまだまだまだまだ大きい。今後少しずつ増えてゆくのだとは思うが、まだ難しい点が残されている。日本語フォントの特性を考えると、特に。

@font-faceでunicode-rangeを利用すれば、使う範囲を定義したり定義した範囲のフォントデータだけを使用することができるし、フォントを分割することもできる。実際にはどのような使われ方になってゆくのだろうか。電子書籍の縦書きグリフなんかも、書籍リーダーの独自実装ではなくて標準的にできるようになればいい。

ちなみにHTML5 Japanese Interest GroupではCSS3のフォント周りに関する意見交換が行われているので、興味のある方はそちらを追ったり参加したりするといいと思う。

SVGフォント

ウェブ上で使えるフォントといえばSVGフォントもある。機能は多くないが、XML形式で定義がシンプル。Windows上でヒンティングデータのない場合などには、SVGの方がキレイに表示されるようだ。

とはいえ、現時点で本文にガツガツ使える感じでもないので、使いどころは難しい。

フォントの問題は誰の問題か

さて、作るものに対してフォントを最初に当てる人は誰だ? と考えると、コーダーでもエンジニアでもなくデザイナーだ。

デザイナーは技術的なことを追う必要はないと考える人もいるだろうし、それもきっと間違いではないと思うのだが、これからの時代のデバイスやUIを考えれば、せめてフォント周りのことは知っておいたほうがいいんじゃないか、ぐらいには思っている。

できることの選択肢は多く持っていた方がいいし、「こんなフォントがこんなふうに使えるならこんな表現ができるよ」という楽しみだって増える。表現を仕事にする以上、その選択肢と楽しみがスキルに直結するのは当然のことなので、やっぱり知らないよりは知っておいた方がいい。

そういう意味でも、ビットマップ化されたものも含む印刷用フォントとウェブフォントは同列に語れるものではないのだと思う。どんなふうに使っていけるのか、使っていきたいのか、考えてワクワクしよう。


参考URL

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