WDE ex -vol9 「タイポグラフィーの大切さ」- TYPE MATTERS - に行ってきた。タイポグラフィーで有名な「ilovetypography.com」のジョン・ボードリー氏の講演ということもあって、たくさんの人が楽しみにしていたようだ。
1時間という短い時間で、あっという間のセッションだったが、面白い発見がいくつかあった。以下、メモなど。
タイポグラフィについて
- 紙媒体だけでなく、様々なところでタイポグラフィは使われている
- 標識や工業製品に使われている文字もタイポグラフィと呼べる
- 空港でのサインに使用されているタイポグラフィ⇒タイポグラフィが次の場所へと導いてくれる
- ブランドのロゴに使用されているタイポグラフィ⇒感情に訴えてくるタイポグラフィ⇒書体の選び方によってブランド感や感情を表現している
案内表示などに導かれながら移動する様を「タイポグラフィの旅」と表現していて、それがすごく素敵だなぁと思った。標識や案内サインといえば反射的にピクトグラムを思い浮かべてしまうのに対し、文字なしでは成り立たない場面もあということに改めて気付かされた。
文字の原点
紀元前の象形文字やくさび形文字のお話から、アルファベットが完成されてゆく過程と歴史。
学生時代にある程度の書誌学を学んでいるので、紙の歴史はひと通りさらっているのだが、文字そのものの歴史はあまり勉強しなかった。合わせて深めたら、すごく面白そう。
プレゼントとして本物の金属活字をいただいた。これはかなり嬉しい。ブックデザインを学んでいた頃、活版時代の書物を集めたくて仕方ない時期とかあったのを思い出す。いいよなぁ、活版印刷。
文字の歴史を知る中で、「文字の歴史というのは合理化するプロセス」というのが一番印象的だった。それは伝えたい情報を伝えやすい形に整えていく作業。逆に考えれば、せっかく文字を使っていても伝えたい情報が伝わらなければ結局ナンセンスってことなんだな、と思い至る。
良いタイポグラフィの4つのルール:CSHW
最後のまとめとして、良いタイポグラフィのルールが4つ示された。
- CONTRAST (コントラスト)
- SIZE (サイズ)
- HIERARCHY (階層)
- WHITE SPACE (ホワイトスペース)
文字の歴史のところで思った「伝わらなければナンセンス」というのも、これに集約されている感じがする。
文字が読めないほど小さいだけでカッコいい気分になるとか、色を見えないほど薄くしただけでオシャレな気分になるとか、そんなの自己満足で、ちっとも良いタイポグラフィではないってこと。ごく当たり前の話といえばごく当たり前の話なのだが、デザイン初心者が陥りやすい罠ではあると思う。
また、良いタイポグラフィの例として、以下のサイトが挙げられていた。タイポグラフィが好きな方にとっては、どれも馴染み深いサイトかもしれない。
それにしても、ウェブ上の和文フォントは難しい。WOFFなども少しずつ普及していくと期待はしているが、フォントが使えることとフォントを使ってデザインできることは別物。
今後ウェブのタイポグラフィの環境は大きく変化していくと思うので、動向を追っていきたい。