先日、第1回 HCD-Netサロン「アドバンスデザインとHCD」に参加してきた。
キヤノン松原さんの幹事挨拶の中で出た「Future Centerd Design = 未来において人が遭遇し共感する『あたらいい魅力的な体験』をデザインする」という言葉が印象的な会だった。
気になったことのメモ
プロトタイピング
株式会社セカンドファクトリーの方が次世代ツアープランニングシステムの事例として紹介されていた「テーブル型次世代タンジブル・プロトタイプ・アプリケーション」のデモが面白かった。
テーブルがタッチパネルになっていて、最大で50件のタッチポイントを検知できる仕組みになっているそうなのだが、テーブルの端に袖が触れるとアクションとして検知されてしまうなど、作ってみないと分からないことが多かったそうだ。まさにプロトタイピングの意義。
アドバンスドデザインのプロトタイピングは、将来的な価値の立証とのことで、部分的に未来を体験可能なプロトタイピングが成果物となるそうだ。その未来体験がユーザーであるオーナーに将来の確信を与え、プロジェクトの引き金を引くというお話。
プロジェクトの初期衝動
- リーダー駆動 ... 強く将来を指し示す人が「やるぞ」と言う
- マーケティングリサーチ駆動 ... 市場動向を調べた結果より将来を予測する
- テクノロジー駆動型 ... 最新技術の活用を見込み新しいものを築く
- UX駆動型 ... 人が本来欲しているニーズを見出す
- 問題解決型 ... 現在の悩みを解決するためのアプローチをとる
プロトタイピングの種類
- ラピッドプロトタイピング(使い捨て)
- ブレッドボードプロトタイピング(開発コア)
初動を解釈し合ってプロトタイピングの目的と意図を明確化することが大事。私は実際に製品の現場にいる人間ではないので、もっと具体的な内容を知る機会があったらいいなぁと思った。
ときめきとか心の動き
石黒猛さんのお話では、紹介された作品を興味深く見せていただいた。プロトタイプをワックスで作っているため、再利用可能でゴミが出ないという点も素敵。
「見る+触る+α」=「新しい体験」であるとか、「経験=共感」といったキーワードで作品作りに対する考え方を表現されていた。ものづくりとフィールドワークの関係は今後もっと密接になってくるように感じていたので、私にとってとてもしっくりくるお話だった。
作品の中で特に面白いと思ったのは、木の生体反応を利用したクリスマスツリーと2人の関係を音に変えるラブソファー。石黒猛さんのサイトでは動画などで作品をたくさん見ることができるので、興味のある方は是非。
デザインとエンジニアリングの相乗効果
takram design engineeringさんが紹介されたインタラクションはどれも素晴らしくて、実際に体験してみたいなぁと思いました。
「水たまり」を音で表現する際には、あえて他の感覚を捨てて聴覚のみに絞ったそうだ。それぞれの人が持つ記憶に違和感を与えない方法で感覚を刺激することで、概念をより際立った形で再現することができるという発見。こうやって言ってしまうと当たり前のようですが、はっとした。
「生き物らしさ」を動きで表現した作品では、虫の動きなどを再現。個人的な体験として、目の前にある視覚体験とTECHTILE展 #03に行った時の触覚体験が脳内で補完し合って、ぞくぞくっと鳥肌が立ってしまった。バーチャルな感覚であっても、こんなふうに記憶と再生ができてしまうんだなぁと実感した好例。